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一節 「新堂 尊のお話」

Penulis: 桃口 優
last update Terakhir Diperbarui: 2025-05-13 04:31:29
 僕には人がいつ、どのように死ぬかわかる。

 まず急に頭の中でたくさんの声がする。その声に意識を向け、その一つを触るイメージをするとその人の細かい情報がさらにわかる。

 その情報から、孤独死する人を見つけ出し、僕はその人の元に向かう。

 たくさんの人がまもなく亡くなることがわかるのだけど、その全ての人の元に僕は現実的にいけないし、それは僕がしようとしていることと違うことだ。

 そうやって僕は孤独死する人を見つけている。

 今回は、ある若い男の人の元に行くことに決めた。

 新堂 尊(しんどう たける)

 十八歳。

 努力家で、楽天的。

 一人っ子で兄弟はいない。

 自分の夢を追いかけたいと言い、親に勘当される。

その後親族の誰とも連絡をとっていない。

 今は山に囲まれた自然が豊かところで、一人暮らしをしている。

 元から友だちはあまりいない上に、人里離れたところにいるから誰かと会うことすらほとんどない。

 結婚はしていないし、恋人もいない。

 淑子さんとは違い、愛とは無縁の人かなと僕は感じた。

 骨肉腫がステージ4で、もう命は長くない。

 そのことは誰にも言っていないらしい。

 病院には告知を受けた後は一度も行っていない。ずっと家にいる。

 彼もまた独りっきりだった。

 しかもこんなに若いのに、死ぬ運命になっている。

 これからしたいことなんて山のようにあると思う。

 それができない辛さは、底が見えない谷のようだと感じているだろう。

 ほかの人は普通にできるのに、自分にはそれができないなんて悔しいだろうから。

 僕はまた黒いファイルから情報を事前に得てから彼の元に向かっていった。

「はじまして、新堂 尊君。僕は二階堂 歩といいます。いきなりですが、あなたの最期を看取りに来ました」

 僕はいつも夕方に人に会いに行く。夕方は、朝でもなく夜でもない曖昧な時間だから。

 死というはっきりしたことと向き合うには、曖昧さがある方がいいと僕は考えている。

 季節は秋になり、コスモスが咲いている。

 何があっても時間は進んで行くのだなと僕は感じた。

 淑子さんはちゃんと学ぶさんに会えているだろうか。

 会えていたらどんなお話をしているのたろうか。

「どういうこと?」

 当たり前だけど、こんな風に話しても、信用してもらえない。ただの怪しくて変な人だと思われる。

 それでも僕は話
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  • 寄り添う者   三節 「寄り添う」

    僕はさらに、これまで関わった人を再び思い返すことにした。 僕にとってターニングポイントであったから。 愛に生きた人、夢に生きた人、自分の足で未来を見つけて再び歩き出した人。 彼らは孤独を感じていた。 心が折れてしまった時もあった。見ているだけで辛そうだった。 僕もその気持ちに同調してしまう時もあった。 でも、必死に孤独と闘っていた。 決して今という時間を生きることを諦めることはなかった。 僕はその人たちが亡くなってしまうことを止めることは一度しかできなかったけど、その人たちの心の支えに僕はなれていたのだろうか。 彼らの思いにちゃんと寄り添えていたのだろうか。 僕がいることで、孤独と感じる時間が少なかったかははっきりとはわからない。 素敵な顔を僕に見せてくれる人もいた。生きたいという思いが段々強くなったのをしっかりと感じた時もあった。 それらは、寄り添えていた感覚を僕に少しだけ与えてくれた。 一方で、彼らに出会うことで、僕が教えられることもあった。僕自身が強くこともできた。 それは、愛情や夢や希望という思いや感情の強さだ。どんなに辛くても、彼らはそれをずっと信じていた。それらがあったから、生きることに自ら終止符を打つという選択をしなかった。思いとは、人に生きる力を強く与えるものだった。 思いの強さがこれまでだと僕は知らなかった。 彼らの懸命に生きた姿は、僕の心の中にずっと残っている。 忘れることは決してない。 でも、未だに看取り方について後悔は残っている。 もっと彼らのために何かできたのではないかと思う。僕の配慮が足りなかったのではないかとも感じる。 看取ることは、ただ最期の瞬間に立ち会うというだけではなかったから。 その人の苦しみや痛みを知り、残りの人生を今まで生きてきた時間よりも素敵なものにすること。そして、今まで生きてきてよかったと感じられること。 看取ることには、それらを手助けすることも含まれていると僕は彼らを看取って強く感じた。 もちろん、看取る人も一緒に辛くなる時もある。暗い感情を近くでずっと受け止めているのだから、そうなることはおかしなことではない。 看取ることは、誰でもできることではないのかもしれない。 でも、その人が本当に大切な人なら、自分を必要としてくれるなら、孤独な思いを少しでも軽減させる行動を

  • 寄り添う者   二節 「孤独な人と向き合う理由」

     涼華の死があった次の日から、僕は人がいつ亡くなるのかわかるようになった。 最初は何が起きているのかわからなかったから、かなり混乱した。 正直その時の僕はタイミングが悪いと思った。 あと数日早くこの能力が宿っていたら、彼女が亡くなる前に駆けつけることができたから。 人生はいつも思い通りにはならないものだと痛感した。 一方で、これは自分の今までの行いによるものだとも思った。 誰よりも大切な人が孤独に感じているのに僕は何も感じとることができなかった。病気だと知っていたのに、涼華との時間をしっかりとることができていなかった。いや、僕自身はしているつもりだったけど、それはただの自己満だった。 僕は完全に取り返しのつかない間違いを犯した。 信頼されている恋人の僕だからできることってきっとたくさんあったのに、僕は本当に何をしていたのだろう。 あの日から僕はずっと後悔をしている。自分のこともたくさん責めた。いくら責めても、僕は何者にも変われないけど責め続けた。この苦しみは、僕が一生背負い続けけなければいけないとも思っている。 だから、こんな能力が宿ったと思っている。たくさんの人の最期の瞬間に立ち会い、自分が彼女にしたこと、孤独な人の気持ちを知り寄り添うことの大切さを誰かがわからせようとしているのかもしれない。 あの時の僕は、向き合うこともせず、逃げ出して、あまりにも中途半端だった。 そんな覚悟で誰かを元気づけることなんてできるはずがないのに。 孤独の中にいる人の手をとり、生きた意味や納得のいく最期の形を一緒に見つけるためには、その人の抱えている辛さ全部に寄り添わなければとてもできない。 寄り添わなければ、相手をわかろうとしなければ、相手に信頼されることはない。 信頼されなければ、きっと心のうちの悩みを話そうとは思わないから。 しかも僕の場合、短い期間で相手に信頼される必要がある。 中途半端な言葉は、相手の元に届く前に暗闇に飲み込まれてしまう。 それじゃあ誰一人も救うことなどできない。 でも、この能力を正しく使えれば、ある人が亡くなる前にその人に寄り添い、最期を僕が看取ることができる。苦しみではなく、少しでも幸せを握りしめて、この世から旅立つことができると僕は信じている。また、前回会った川嶋 美優さんのように本来は亡くなる予定だった人に希望を

  • 寄り添う者   一節 「過去のお話」

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     彼女から屋上に来てほしいと連絡があった。 屋上は僕たちが初めて出会った場所だ。僕たちの関係は、ここから始まった。 そこから彼女は少しずつ、他人を知り、自分を知っていった。 色々なことに触れ、考え方を深めていった。 今はもうあの時の彼女ではない。 あのときの彼女は何も信じていなかった。 短期間で彼女は本当に急激に成長した。 屋上に呼び出すと言うことは、きっと彼女は大事な話したいのだろう。 空を見上げると満月が浮かんでいた。「笑わないで聞いてくれる?」 彼女はまだ僕の方を向いていない。 優しい青色のロングスカートがふわりと揺れている。「はい、ちゃんと聞きます」 僕の言葉を聞いてから、彼女は僕の方を振り向いた。 彼女のあどけない顔が、今日はしっかりしているように見える。「私、孤独にも負けないものがやっと見つかった」 彼女は嬉しそうに笑った。「何ですか」  僕はドキドキした。彼女が出した答えはなんだろうか。 彼女には孤独死せずに、この先ずっと生きてほしいから。「自分自身だよ」 彼女は僕に近づいてきた。「私、わかったよ。私は『生きること』自体が怖かった。ただ怖かった。だから今まで逃げていた。できないことからも、不幸なことからも、私自身からも、本当に全てのことから。一度も向き合ったことがなかった」 僕は彼女に温かい視線を送った。 彼女の不幸な境遇は、色々な要因から起きていたと思う。それをどう捉えるかも確かに大切だ。「そして、淑子さんや尊君の信じるものに触れて、私はこのままじゃダメだと強く思った。彼女たちは、もっと生きたいのに生きることができなかった。もっとやりたいことがあるのにできなった。私は違う。死ぬ運命じゃないのに、生きることから逃げていた。そして、向き合ってみれば、変えられることもあるかもしれないと思った」 僕は二人の話を話してよかったと思った。彼女にはしっかり僕の思いが届いていた。「私が信じられるものってなんだろうってずっと考えてた。その答えがやっとわかった」  彼女はゆっくりと深呼吸した。「それは自分自身。物事に向き合えば、辛い思いになる時もきっとある。でも、それを乗り越えられるかどうかは自分自身にかかっていると思った。心を癒すこと、物事の捉え方を変えるのは本人がすることだから。私は私を信じたい。簡単なこと

  • 寄り添う者   四節 「孤独と対峙して」

    「助けて」 夜中に彼女から電話があり、僕は急いで彼女の家に向かった。 僕は心が大きく乱れることがあったのだろうと思った。 電話越しの声が震えていた。 家に着くと、彼女はキッチンで包丁を首に押し当てて泣いていた。 電気もついていない部屋から彼女の泣き声だけが響いていた。 この部屋はまるで彼女の心の中を表しているかのようだ。 彼女は独り言のように話し始めた。「ふとした瞬間に、私って独りだなと感じる。そうするとどうしようもないぐらい死にたくなる。その感情を止められない。私って弱い?」 彼女は死にたい理由を初めて僕に話してくれた。 メンタルが弱ることは普通なことでもある。「弱くないです」 僕はしっかりと彼女の目を見て話した。「本当に?」「本当です」 僕は彼女の手から包丁をゆっくりと切り離した。「でも、独りだよね?」 彼女の目から涙がこぼれそうになっていた。「僕がそばにいます」「歩さんだって、ずっとそばにはいてくれないよね。私が自殺しないとわかればきっといなくなっちゃうんだよね。そんなの嫌だ。ずっとそばにいてよ」  彼女の本心がどんどんあふれてくる。 僕のしていることもちゃんと理解していて、聡明だとも感じた。 誰しも独りでは生きていけない。 人は、頼り支え合っていいものだ。 彼女は独りになることを強く恐れていた。 いや、もうこれ以上独りでいることに耐えられなくなっていたという方が正しいかもしれない。 彼女の心は思っていたよりずっといっぱいいっぱいのようだ。「確かに、僕は美優さんが孤独で自殺をしてしまうことを防ぎにやってきました。それが終わっても、僕たちの関係が完全になくなることはありません。いつでも会えますよ」「ホントに? 歩さんは私のことを裏切らない?? 私をおいてどこかにいってしまわない?」 彼女は自分と闘っていた。前に進もうとしていた。 彼女は今また誰かを信じようとしている。それをすることは彼女にとってとても勇気のいることだっただろう。 だからこそ僕はその気持ちに応えたい。「大丈夫ですよ」「ありがとう。私頑張る」 それは、彼女と心が触れあった瞬間だった。 それから数日が経ったある日のことだ。「歩さんが看取った人の話をもっと聞かせてくれない?」 今僕は彼女の部屋の中にいる。 そう話す彼女はなんだ

  • 寄り添う者   三節 「彼女を知りたい」

     季節がまた前に進んだ。 木々は枯れて、寂しさを感じされる。 僕は毎日美優さんに話しかけるために家に行っている。 それはできる限り彼女に気にかけていたいから。 自殺衝動はなかなか完全になくならない物だ。そのことで本人も辛いと思う。 原因を取り除いたらもう大丈夫というほど簡単なものではない。 彼女が自殺をしそうになることは僕がいる時にはなかった。 そして、少しずつだけど、僕たちの距離は縮まっていった。もちろん、だからといって完全には安心はできない。「美優さんの好きなことってなんですか?」 今僕たちは彼女の部屋で、話をしている。 テレビやこたつがあるだけのシンプルな部屋だ。 彼女は上を見上げ、考えているようだ。 僕は彼女が話すまで決して急かさないことにした。じっと待つことにしている。どんな感情でも彼女の思いや気持ちを止めたくないから。 まだまだ彼女のことで、知らないことが多い。 今まで二人の人を看取った経験から、何かをやらないで後悔するのはもう嫌だった。「うーん。特にないかな。最近はやる気も出ないし」 彼女は少し申し訳なさそうにそう言った。「ないと辛くないですか?」「もうそんな感覚もわからなくなっちゃったかな」「そうなんですね。美優さんがよければですが、またゆっくり探してみませんか?」「気が向いたらね」 彼女は完全には否定はしなかった。 だこらこそ、僕はもう一歩踏み出してみた。「もしよければ、自殺したいと思う理由を教えてもらってもいいですか?」「それは……」 彼女は急に落ち着きがなくなった。「大丈夫ですよ。今じゃなくてもいいし、もし話せたらいいですから」「うん。色々あるけど、辛いことが重なったからかな」「教えてくれてありがとうございます」「そんなお礼を言われるようなことを言っていないよ」「そんなことないです。美優さん今確かに頑張ってくれました。辛いと言うこと自体大変なことですから」「そうなんだね」 彼女にイマイチ響いている感じはしなかったけど、今はそれでもいいかと僕は思った。 ゆっくり生きていくことは決して悪いことではないから。むしろ、多くの人は生きることを急ぎすぎている。「じゃあ、嫌いなことはなんですか?」「それは話出すととまらないぐらいあるよ。いいの?」「はい。いいです。僕はどんなことでも、何

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